温暖化対策会議 再生エネで削減しよう
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014121202000175.html
東京新聞 2014年12月12日
ペルーで開催中の気候変動枠組み条約第二十回締約国会議(COP20)も大詰めだ。米中が存在感を示す中、日本は「原発を動かせないから」と温室効果ガス削減目標を示せないままなのか。
COP20は地球の未来にとって重要な節目になる。京都議定書第二約束期間の後、二〇二〇年以降の新たな温室効果ガス削減ルールづくりの成否を占う会議である。
そのCOP20の序盤早々、日本は国際NGOが、交渉に後ろ向きな国に対して皮肉を込めて贈呈する「化石賞」を贈られた。
昨年までの交渉で、以下のことが決まっている。
来年末、パリで開くCOP21で、新たな約束を結ぶ。先進国だけに義務を課してきた京都議定書とは違い、途上国も何らかの形で削減に参加する。国別に削減枠を割り当てず、それぞれの国が実現可能な自主目標を国連に登録し、達成状況を確認し合う。可能なら来年三月(無理なら五月)までに自主目標を提示する-。
各国が示すべき自主目標をできるだけ底上げするのが、COP20の最も大きな使命である。
ポスト京都の約束は、本来〇九年のコペンハーゲン会議(COP15)で決めることになっていた。欧州連合(EU)として、パリ会議の失敗は許されない。
EUは三〇年に一九九〇年比40%減という目標をすでに掲げて、会議をリードする。温室効果ガス排出世界一位の中国と二位の米国も、開幕直前に自主目標を世界に示し、九日からの閣僚級会合でも、積極姿勢をアピールするのに余念がない。
日本はといえば、原発の稼働状況が見えないうちは、自主目標は決められないというばかり。すでに“周回遅れ”の感がある。日本は排出量世界五位だが、国民一人当たりでは中国より多くなる。
EUなどは、風力など再生可能エネルギーの拡充を、削減の柱に据えている。原発頼みは言い訳として通らない。
閣僚級会合には、望月義夫環境相が、選挙を押して参加した。
日本には、途上国が温暖化の悪影響に対応する資金の提供と引き換えのように、削減目標提示の猶予を請うのではなく、再生エネルギーを活用した前向きな提案を最後まで望みたい。
せめて目標提示の時期ぐらい表明しておかないと、化石賞の返上どころか、“世界”から、ますます置いてきぼりにされていく。日本に不利なルールができていく。
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