林業及び木材産業における「働き方改革」

春 ヲ 呼 プ

2019年04月03日 17:15

 
・ 「働き方改革」の最初のステップとして、経営理念とは何か、どのように取組を進めていけばよいのか等を専門家に指導してもらう必要がある。経営理念を持たない会社もある中で、基本的な手ほどきを示すことが必要である。
・ まずは手引きを読んでもらい、誰に相談すればよいのかが分かるというのが取組の出発点ではないか。

④ 解決すべき主な課題
・ 賃金データから「生産性の向上」という課題が導き出されるわけではない。「能力に応じた賃金制度の構築」といった課題に修正すべき。
・ 「雇用の安定化」は「雇用の改善」と修正すべき。

⑤ 課題解決のヒント
【従業員の募集・採用方法の見直し】
・ ハローワークで求人票を見て感じることであるが、自社の魅力をアピールする欄に何も記載していない企業が多い。そのために応募がなく、採用難から抜け出せていないのではないか。
・ マッチングの機会が与えられることが重要。UIターン移住セミナーや行政のウェブサイト等がマッチングの機会として考えられる。

【年間カレンダーを作成する必要性】
・ 月給制を導入するためには、年間労働日数を示すカレンダーを作成する必要がある。各月の労働日数がはっきりしないのが林業の問題点。カレンダーを作成し、年間最大労働時間2,000時間を「見える化」する必要がある。

・ 2019年4月から年5日間の有給休暇の確実な取得が義務化されるが、他の業界では年間労働日数に基づくカレンダーの作成を始めている。有給休暇を考慮した上で導き出される最大稼働日数をどのように運用していくかについて、カレンダーを見ながら考える必要がある。

・ 天候や季節に左右される林業では、年間労働日数を定めておき、あとの休暇の調整や取得は各人に任せる方法しかないのではないか。

・ 今後働き手の多様性は増していくため、必ずしも全員を月給制で正社員にしなくてもよい可能性がある。多様な人々にそれぞれが望ましい形で参画してもらい、結果として事業が成立し持続可能な形となることが重要である。

【林業における長時間労働】
・ 林業では日中しか働くことができないため、1日あたりの労働時間は限られる。一方で、月給制導入に向けて業務量が増加すると、休暇日数が減って年間労働時間が長くなるという課題がある。

・ 一般企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から、残業時間の上限規制が適用される。休日労働を含め月間100時間を超えてはいけないことがルール化されることに留意しなければならない。1日あたりの労働時間は限られても、休日労働等の関係で残業規制の上限に触れる場合もあり、長時間労働と無関係ではないのではないか。

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