2013年11月20日
アジア国立公園会議
2013 年11 月17 日
アジア国立公園会議 議長総括(仮訳)
星野 一昭
熊谷 嘉隆
熊谷 嘉隆
第1 回アジア国立公園会議は、国際自然保護連合(IUCN)及び日本の環境省の主催により、2013 年11 月13 日から17 日にかけて宮城県仙台市で開催された。会議にはアジア地域の22 ヶ国の保護地域所管機関の代表等を含む、政府、自治体、国際機関職員、NGO 職員、研究者、学生など世界の40 の国と地域から約800 名が参加した。
第6 回世界国立公園会議の1 年前に開催されたこの会議では、アジアにおける保護地域管理の現状・課題、そして優良事例などの経験を共有し、生物多様性条約の愛知目標の達成や保護地域作業計画の実施に向けた地域の協力体制の構築を推進するとともに、世界国立公園会議に向けてアジアからのメッセージを発信することを目的として開催された。
会議の概要
開会式では、石原伸晃環境大臣、Zhang Xinsheng IUCN 会長による開会挨拶、村井嘉浩宮城県知事、奥山恵美子仙台市長、Sally Barnes オーストラリア・ニューサウスウェールズ州環境遺産省事務次官による挨拶に続いて、田部井淳子氏(登山家)、武内和彦氏(国連大学上級副学長、中央環境審議会議長、東京大学教授)、Ernesto Enkerlin-Hoeflich 氏(IUCN 世界保護地域委員会委員長、モントレー工科大学教授)による基調講演が行われた。
全体会合では、アジア保護地域フィロソフィー、アジアにおける地域レベルの保護地域協力、IUCN 世界国立公園会議2014、愛知目標と韓国における生物多様性条約 COP12 の準備、IUCN 保護地域プログラム、世界保護地域データベース(WDPA)、グリーン復興プロジェクトと三陸復興国立公園、日本企業による生物多様性のための取組について情報共有が行われた。参加者は、UNEP/WCMC が作成中の「プロテクテッド・プラネット・アジア」レポートについて、各国の最新情報を提供するなどの協力を行うことを確認した。
参加者は次の6つのテーマのワーキング・グループに分かれて、保護地域に係る先進事例の発表や議論を行った。
WG1 自然災害と保護地域、
WG2 保護地域における観光・環境教育、
WG3 文化・伝統と保護地域、
WG4 保護地域の協働管理、
WG5 保護地域に関する国際連携、
WG6 生物多様性と保護地域。
会議に参加した若手研究者などによるユース・セッションも開催された。会議参加者は、フィールド・エクスカーションで、東日本大震災の被害を受けた地域に、日本の環境省がおいて創設した「三陸復興国立公園」を見学し、自然災害からの復興に向けて保護地域が果たす役割について認識を深めた。
会議の成果
会議参加者は、自然保護と地域の発展の両立に向けたアジアの経験に基づいた指針とも言うべき「アジア保護地域憲章」に合意した。
また、6つのワーキング・グループの議論を踏まえ、「第6回世界国立公園会議に向けたアジアからのメッセージ」が作成された。さらに、会議に参加した若手研究者などによ
り、「第1回アジア国立公園会議ユース宣言」がとりまとめられた。これらの成果は、最終日にIUCN、世界保護地域委員会、オーストラリア政府に対して手渡され、第6回世界国立公園会議の議論に十分反映されることとなった。
今後の展開
会議参加者は、世界国立公園会議において、アジア国立公園会議の成果が十分活用され、さらに議論が発展するよう、協力して取組を進めることに賛同した。会議参加者は、また、アジアにおける保護地域に係る協力体制の構築の必要性を認識した。その上で、IUCN アジア地域事務所、世界保護地域委員会、日本(環境省)に加え、関心のある国や国際機関を中心にしてパートナーシップ計画委員会(仮称)を設置し、準備・検討を進めることとなった。
Posted by 春 ヲ 呼 プ at 08:10│Comments(0)
│地球環境・国際環境協力