2013年11月20日
アジア保護地域憲章(仙台憲章)の概要
・アジアにおける保護地域の特質と方向性を示すため、アジア国立公園会議の合意文書として、会議最終日に会議参加者全員により合意したもの。
・法的拘束力は有しないが、会議参加者が協力して、本憲章に沿った取組を進めるとともに、アジア各国及び関係国際機関等に対し協力を呼びかけていく。
アジア保護地域憲章の主な内容
アジアの挑戦
• 保護地域は、自然と自然に関連する文化的資源を保全する最も有効な手段の一つ。
• アジアの広範で多様な保護地域体制は生物多様性条約の「愛知目標」を含む世界の生物多様性に関する諸目標の達成に、重要な役割を果たすものであることを認識。
• 人材や財源の強化とグローバルな最優良事例や手法の選択を通じ、アジアの保護地域の管理を強化することが喫緊の課題。
(注)「保護地域」は、陸域、海域、陸水域における政府が管理する保護地域だけでなく、私的な保護地域、自然の聖地、先住民や地域住民による保護地域を含む。
災害リスクの削減と復興のための保護地域
• アジアでは、人口増加や都市化、気候変動等により自然災害による被害が増加。
• 保護地域は、自然災害のリスクの高い場所における地域の回復能力(レジリエンス)を強化。
• 被災地における自然再生は地域社会の復興に貢献し、自然環境や生態系に対する人々の理解を促進。
地域開発と生物多様性保全の調和
• アジアには、高い生物多様性が開発等により脅かされている地域が多数存在。
• 保護地域は、自然環境を保護するためだけの措置ではなく、人と自然の間の調和を達成するための手法。
• 保護地域における良好な管理は、アジアにおける陸上景観や海洋景観の維持に寄与。
保護地域の協働管理
• アジアの社会は伝統的に土地および海に根ざしたものであることから、保護地域は地域の経済的利益や生計の向上にも資する必要。
• 地方政府、企業、先住民、NGOや青少年を含む多様な個人、地域社会、組織が参画し、すべての人々が裨益する保護地域の実現が必要。
• 保護地域の管理主体・体制は、地域固有の生態的、歴史的、政治的な背景に基づくことが必要。
文化・伝統と結びついた保護地域管理
• 保護地域、とくに自然の聖地や先住民や地域社会の保護地域は、地元の文化や伝統に深く根ざしており、人と自然が再びつながるには、これらを支援・奨励して発展させることが必要。
• 自然の聖地と言われるような場所は、人々や社会の精神的な豊かさや福利に資するだけでなく、生物多様性や生態系サービスの保全においても貴重な役割を発揮。
持続可能な観光および環境教育と持続可能な開発のための教育
• 保護地域は、レクリエーションや教育の機会を提供し、地域の人々に利益をもたらすエコツーリズムの資産として社会の福祉にも貢献。
• 環境教育と持続可能な開発のための教育は、保護地域の自然・文化の価値へ触れることに貢献。
保護地域の連携の強化
• 生物多様性にとって重要な地域の特定に向けた国際連携の促進が必要。
• アジアの保護地域の連携の強化は、保護地域の実効性が向上するほか、国同士の対話の増加や絆の強化にも寄与。
• 既存の国際的・地域的な協定や枠組みとの連携・協力の強化を図ることが必要。
○決意(コミットメント)
我々は、
• 保護地域が減災・防災、復興に果たす重要な役割に関する理解を広めることを確認。
• 参加型、持続可能、かつ地域住民へ利益を提供できる形で保護地域における責任ある観光や環境教育の機会を増やすことを確認。
• 政府、企業、先住民、NGOや青少年の更なる強力な関与を通じて保護地域のネットワークや連携を強化し、資金的・技術的支援を増加させることを確認。
• 保護地域の指定や管理に際し、地域の文化や伝統を尊重し、実践する人々の声に耳を傾けることを確認。
• 生物多様性と生態系サービスへの脅威を減らすことにより、愛知目標達成へ貢献することを確認。
• 保護地域の連携増進により、統治と管理能力を改善し、保護地域の価値を最大限に引き出すことを確認。
• 以上を通じ、保護地域が人類の進歩を促し、人と自然の共生を実現するような未来に向けて取り組む。