2014年05月26日

湿地が有する経済的な価値の評価結果について

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=18162

平成26年5月23日


1.背景・経緯

・2010年に愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で、TEEB(生態系と生物多様性の経済学)の最終報告書が公表されるなど、生物多様性や生態系サービスの価値を経済的に評価することの重要性が注目されている。

・様々な主体が生物多様性及び生態系サービスの価値を認識し、その保全や利用に際して適切な意思決定が行われることを促進するため、環境省においても経済価値評価の検討を進めている。

・平成25年度には、我が国の生態系の中でも特に近年の損失が大きい生態系である湿地について、経済的な価値の評価を実施した。



2.評価の対象

湿地タイプ 面積

湿原:110,325ha

干潟:49,165ha

※湿原及び干潟の定義、面積は環境省自然環境保全基礎調査による。


3.評価方法

・湿原及び干潟が有する生態系サービスを整理し、既存の調査研究事例等を用いて経済価値評価が可能な生態系サービスのみを評価した。

・これまでに全国レベルで定量的な評価が行われている生態系サービスについては、適切な代替財(ダム、水質浄化施設にかかる費用等)を用いて貨幣換算を行った。

・定量的な評価が一部地域でしか行われていない場合には、その値を全国に適用して評価額を計算した。

・評価額は湿原及び干潟が年間に生み出す生態系サービス(フロー)の価値として算出した。

・経済価値の評価が困難な生態系サービスについては、生態系サービスの内容と経済評価にあたっての課題を整理した。



4.評価結果

・湿原及び干潟が有する生態系サービスのうち、今回、経済価値の評価を行ったものは以下のとおり。

■湿原の生態系サービスの経済価値評価結果
◎生態系サービス 評価額(/年) 原単位(/ha/年)

 ●調整サービス
  ・気候調整 (二酸化炭素の吸収) 約31億円 〔高層湿原〕約1.4万円 〔中間湿原〕約2.2万円 〔低層湿原〕約3.1万円
  ・気候調整 (炭素蓄積) 約986億円―約1,418億円 〔高層湿原〕約250万円 〔中間湿原〕約154万円―約177万円 〔低層湿原〕約58万円―約105万円
  ・水量調整 約645億円 約59万円
  ・水質浄化 (窒素の吸収) 約3,779億円 約343万円

 ●生息・生育地サービス
  ・生息・生育環境の提供 約1,800億円 約163万円

 ●文化的サービス
  ・自然景観の保全 約1,044億円 約95万円
  ・レクリエーションや環境教育 約106億円―約994億円 約9.6万円― 約90万円


■干潟の生態系サービスの経済価値試算結果
◎生態系サービス 評価額(/年) 原単位(/ha/年)

 ●供給サービス
  ・食料 約907億円 約185万円

 ●調整サービス
  ・水質浄化 約2,963億円 約603万円

 ●生息・生育地サービス
  ・生息・生育環境の提供 約2,188億円 約445万円

 ●文化的サービス
  ・レクリエーションや環境教育 約45億円 約9.1万円







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